カードソーティングは、ユーザーエクスペリエンス(UX)リサーチや情報アーキテクチャの設計において、情報や機能の分類・整理を理解するための有効な手法です。特にウェブサイトやアプリの情報構造を設計する際、ユーザーにとって直感的で使いやすいナビゲーションやカテゴリ構造を構築するための貴重なインサイトを提供します。しかし、カードソーティングの活用はそれだけに留まりません。ユーザーの思考プロセスを深く探り、さまざまなデザインやビジネス戦略に応用できる強力なツールとしても機能します。本記事では、その多岐にわたる活用方法について詳しく解説します。
オープンカードソーティングとクローズドカードソーティング
カードソーティングには、主に以下の2つの方法があります:
- オープンカードソーティング:
ユーザーにカードを自由にグループ化してもらい、各グループに名前を付けてもらう手法です。ユーザーがどのように情報を自然に分類するかを把握するのに適しています。
- クローズドカードソーティング:
事前に用意されたカテゴリに、ユーザーがカードを割り当てていく手法です。既存の情報構造の検証や、ユーザーがどのように既存のカテゴリに情報を適合させるかを評価する際に使用されます。
カードソーティングの多様な活用方法
以下に、その具体的な活用方法を紹介します:
- 情報構造の設計:
カードソーティングの結果をもとに、ユーザーが自然に理解できる情報構造を設計します。ユーザーがどのように情報をグループ化し、どのようなラベルを付けるかを分析することで、直感的なナビゲーションメニューやカテゴリ構造を構築できます。
- ユーザーのメンタルモデルの理解:
カードソーティングは、ユーザーがどのように情報を認識し、理解しているかを明らかにします。これにより、ユーザーのメンタルモデル(心の中で描く情報の構造)を把握し、それに合わせたデザインを行うことが可能です。
- 既存情報構造の評価:
クローズドカードソーティングを利用して、既存の情報構造がユーザーの期待に沿っているかを検証します。ユーザーが情報をどのカテゴリに割り当てるかを観察することで、既存の構造に問題があるかどうかを判断できます。
- ラベリングの最適化:
カードソーティングの結果から、ユーザーがどのような言葉を使って情報をラベル付けするかを確認し、最適なラベリングを行うことができます。ユーザーが理解しやすいラベルを使用することで、情報の発見性を向上させることができます。
また、以下のような特定の目的でもカードソーティングは有効です:
- 機能の優先順位付け:
製品やサービスに含まれるさまざまな機能を、ユーザーに「最も重要」「やや重要」「重要でない」のように分類してもらうことで、機能の優先順位を把握することができます。これにより、開発リソースの配分や、ユーザーのニーズに応じた機能の改良や追加が効果的に行えます。
- コンテンツ戦略の策定:
カードソーティングを利用して、ユーザーがどのコンテンツを最も重要視しているかを明らかにすることで、コンテンツの優先順位を決定し、効果的なコンテンツ戦略を策定することができます。例えば、ブログのカテゴリや製品ページの構成などを最適化する際に役立ちます。
- グループ間の関係性と配置の分析:
特にオープンカードソーティングにおいて、ユーザーにカードをグループ分けする際、その位置や距離にも注意を払うよう指示することで、グループ間の関係性や違いをより深く理解することができます。例えば、「近いと感じるものを近くに配置してください」というような指示を出すことで、ユーザーがどの情報を密接に関連付け、どの情報を明確に区別しているのかが浮き彫りになります。このような自由度の高い手法は、新しい情報構造を構築する際や、既存の構造に問題がある場合に有効です。
- カスタマージャーニーの理解:
カスタマージャーニーの各ステージをカードソーティングで分類し、ユーザーがどの情報をどのタイミングで必要としているかを明確にすることで、ターゲットとするユーザーに最適な体験を提供するためのインサイトを得ることができます。
まとめ
カードソーティングは、ユーザーの思考を視覚化し、情報構造の最適化や機能の優先順位付けに役立つ効果的なリサーチ手法です。ウェブサイトやアプリの情報アーキテクチャの設計に限らず、製品開発やコンテンツ戦略の策定など、さまざまな用途に応用できる柔軟性があります。また、ユーザーがどの情報をどのように関連付け、区別しているかを分析することで、より深いユーザーインサイトを得ることが可能です。
Uismでは、カードソーティングをはじめとする多様なリサーチ手法を駆使し、クライアントのニーズに合わせたデザインソリューションを提供しています。製品やサービスの設計や改善に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。