新しいサービスコンセプトを立案した際、ユーザーがそのコンセプトをどのように、またどの程度積極的に受け入れるかという受容性を検証することは、サービス開発を進めていく上で極めて重要です。コンセプト検証にはしばしば、UXリサーチが用いられます。多くの方がUXリサーチと聞くと定性調査をまず想像されるかもしれませんが、調査の目的によっては定量調査も有効であり、積極的に取り入れられる調査手法となっています。
弊社Uismはクライアントの課題やニーズに的確に対応するため、経験豊富なリサーチャーがユーザーの感情や行動の根底にある心的動因を明らかにする定性調査から、具体的なサービスコンセプトの検証を行う定量調査まで、一貫してサポートしています。これにより、クライアントはより確かなデータと洞察に基づいて意思決定を行うことが可能となります。
今回は、弊社が実際に行ったリサーチケースを紹介します。このケースでは、クライアントがユーザーの行動変容を促すことを目的として新規サービスコンセプトを立案されました。弊社が受けた相談は、ユーザーがこれらコンセプトに対してどれほどの共感を示すのか、既存の認知・行動様式に影響を及ぼすことができるのか、開発を進める上での改善点は何か、そして複数あるコンセプトに対しての開発判断を行う上で、どう優先順位をつけるべきなのかを検証されたいというものでした。
定性調査から始める受容性検証
新規サービスの受容性を検証する重要な第一歩として、定性調査を実施しました。この段階では、ユーザーの心理や感情、ペインポイントをより深く理解することを主な目的とし、後の定量調査への道筋をつける役割を果たしました。
内容:
- サンプル数:12名
- 手法:1対1のリモートデプスインタビュー(IDI)
- ツールの活用: オンラインホワイトボードツール「Miro」を使用し、参加型エクササイズで対象者の期待やペインポイントを細かく探る
- 新規コンセプトの提示:コンセプトの反応とフィードバックを収集
結果、ユーザータイプの分類とタイプ別のジャーニー可視化に加えて、コンセプトに対して肯定的な反応が得られました。特に一部のユーザータイプでは、新規サービスが行動変容を促す可能性があることが示唆されました。これらの定性調査の結果は、次の定量調査のための土台となります。
定量調査で受容性を詳細に検証
定性調査で得られた結果は、新規サービスコンセプトがユーザーの期待やペインポイントにどのように対応し、肯定的な反応を引き出す可能性があるかを理解する上で非常に重要で価値あるものです。
ただし、定性調査ではサンプル数の限界があり、この調査では複数のコンセプトが存在したことにより、さらなる広範で具体的な検証が必要でした。そこで、定性調査の結果を踏まえて分析計画を立案、オンラインでの定量アンケートを実施し、大きなサンプル数に対して以下の三つの分析を行いました。
①コンセプト全体の影響力の検証
分散分析という統計手法を用いて、3つの異なる要因(この場合、ユーザータイプ、経験、意見の変化)が特定の結果にどのように影響を及ぼしたかを分析しました。この分析は、複雑な相互作用を理解し、各要素が結果にどれほど寄与しているかを詳細に評価するための強力な手段です。
この分析によって、どのユーザータイプがどのコンセプト経験によって、どのくらい意見を変化させるのか検証できます。また、サービス全体が顧客満足度スコア(NPS:Net Promoter Score)にどれだけ寄与したかも検証しました。
②コンセプト全体が行動変容に与える効果
この調査では、行動変容を、何らかの行動をしようと思わない(10段階評価の内5以下)、消極的な態度から、何らかの行動をしてみようと思う(10段階評価の内6以上)、積極的な態度に変化することと定義しました。アンケート上でコンセプト提示の前後により消極的な態度から積極的な態度へ変化した対象者の割合を統計的に分析することにより、コンセプト提示の効果を明らかにしました。分析結果より、提示したコンセプトがどの程度の対象者に対して行動変容を促す効果があったかを判定しました。
③コンセプト毎の影響力の評価
前述の①と②の分析は、複数あるコンセプトを全体として評価しましたが、③では各コンセプトの個別の影響力を評価・比較しました。通常、複数あるコンセプトを評価・比較する場合、1人に1つのコンセプトを提示することになり、膨大なN数が必要となります。本調査では、統計的に有意なサンプル数を確保する工夫として、全コンセプトを提示された回答者と一部のコンセプトを提示されなかった回答者を設けました。全コンセプト提示と比べ、一部のコンセプトを提示されなかった場合はどの程度効果が減弱するのかを明らかにすることで各コンセプトの影響力を導きました。また、この影響力を分析するためにロジスティック回帰分析という統計手法を用いました。
ロジスティック回帰分析とは、変数間の関係性を数値化する統計手法の一つで、二つの結果の可能性(例えば、「行動変容が起きる」または「起きない」)について、どのような要因が「行動変容が起きる」可能性を高めるのか確率的に推定をしていきます。また、その影響の大きさを評価するためにオッズ比という指標を利用しました。オッズ比は統計的な比率で、特定の事象(ここでは各コンセプトの提示)がある結果(ここでは行動意向の変化)をより高く引き起こす可能性を示します。加えて、有用性に対する回答を基に、意見改善の仮説を立てました。これらの手法により、各コンセプトが行動変容にどの程度寄与するかを詳細に明らかにできました。
2つの調査より
定性調査(感情分析)と定量調査(効果分析)を通して、私たちはクライアントが新規サービスコンセプトの開発をより明確に進めるための支援を行い、結果として、どのユーザータイプに焦点を当て、どのコンセプトを優先的に開発すべきかが明確化し、全体の開発効率の向上を後押しすることができました。
開発段階のフェーズに応じて、課題もさまざまに変わってきます。私たちUismの役割は、リサーチパートナーとして、お客様が抱える課題、予算、スケジュールなどすべてを考慮した上で、最適な手法を提案、有効な解決策を見つけ出し、開発を支援することです。
弊社には、定性・定量両方において豊富な知見と経験があります。それを駆使して各プロジェクトのニーズに合わせたカスタムメイドのリサーチを提供し、あなたの事業成功に貢献します。どのようなお悩みでも、お気軽にご相談ください。
新しいサービスコンセプトを立案した際、ユーザーがそのコンセプトをどのように、またどの程度積極的に受け入れるかという受容性を検証することは、サービス開発を進めていく上で極めて重要です。コンセプト検証にはしばしば、UXリサーチが用いられます。多くの方がUXリサーチと聞くと定性調査をまず想像されるかもしれませんが、調査の目的によっては定量調査も有効であり、積極的に取り入れられる調査手法となっています。
弊社Uismはクライアントの課題やニーズに的確に対応するため、経験豊富なリサーチャーがユーザーの感情や行動の根底にある心的動因を明らかにする定性調査から、具体的なサービスコンセプトの検証を行う定量調査まで、一貫してサポートしています。これにより、クライアントはより確かなデータと洞察に基づいて意思決定を行うことが可能となります。
今回は、弊社が実際に行ったリサーチケースを紹介します。このケースでは、クライアントがユーザーの行動変容を促すことを目的として新規サービスコンセプトを立案されました。弊社が受けた相談は、ユーザーがこれらコンセプトに対してどれほどの共感を示すのか、既存の認知・行動様式に影響を及ぼすことができるのか、開発を進める上での改善点は何か、そして複数あるコンセプトに対しての開発判断を行う上で、どう優先順位をつけるべきなのかを検証されたいというものでした。
定性調査から始める受容性検証
新規サービスの受容性を検証する重要な第一歩として、定性調査を実施しました。この段階では、ユーザーの心理や感情、ペインポイントをより深く理解することを主な目的とし、後の定量調査への道筋をつける役割を果たしました。
内容:
- サンプル数:12名
- 手法:1対1のリモートデプスインタビュー(IDI)
- ツールの活用: オンラインホワイトボードツール「Miro」を使用し、参加型エクササイズで対象者の期待やペインポイントを細かく探る
- 新規コンセプトの提示:コンセプトの反応とフィードバックを収集
結果、ユーザータイプの分類とタイプ別のジャーニー可視化に加えて、コンセプトに対して肯定的な反応が得られました。特に一部のユーザータイプでは、新規サービスが行動変容を促す可能性があることが示唆されました。これらの定性調査の結果は、次の定量調査のための土台となります。
定量調査で受容性を詳細に検証
定性調査で得られた結果は、新規サービスコンセプトがユーザーの期待やペインポイントにどのように対応し、肯定的な反応を引き出す可能性があるかを理解する上で非常に重要で価値あるものです。
ただし、定性調査ではサンプル数の限界があり、この調査では複数のコンセプトが存在したことにより、さらなる広範で具体的な検証が必要でした。そこで、定性調査の結果を踏まえて分析計画を立案、オンラインでの定量アンケートを実施し、大きなサンプル数に対して以下の三つの分析を行いました。
①コンセプト全体の影響力の検証
分散分析という統計手法を用いて、3つの異なる要因(この場合、ユーザータイプ、経験、意見の変化)が特定の結果にどのように影響を及ぼしたかを分析しました。この分析は、複雑な相互作用を理解し、各要素が結果にどれほど寄与しているかを詳細に評価するための強力な手段です。
この分析によって、どのユーザータイプがどのコンセプト経験によって、どのくらい意見を変化させるのか検証できます。また、サービス全体が顧客満足度スコア(NPS:Net Promoter Score)にどれだけ寄与したかも検証しました。
②コンセプト全体が行動変容に与える効果
この調査では、行動変容を、何らかの行動をしようと思わない(10段階評価の内5以下)、消極的な態度から、何らかの行動をしてみようと思う(10段階評価の内6以上)、積極的な態度に変化することと定義しました。アンケート上でコンセプト提示の前後により消極的な態度から積極的な態度へ変化した対象者の割合を統計的に分析することにより、コンセプト提示の効果を明らかにしました。分析結果より、提示したコンセプトがどの程度の対象者に対して行動変容を促す効果があったかを判定しました。
③コンセプト毎の影響力の評価
前述の①と②の分析は、複数あるコンセプトを全体として評価しましたが、③では各コンセプトの個別の影響力を評価・比較しました。通常、複数あるコンセプトを評価・比較する場合、1人に1つのコンセプトを提示することになり、膨大なN数が必要となります。
本調査では、統計的に有意なサンプル数を確保する工夫として、全コンセプトを提示された回答者と一部のコンセプトを提示されなかった回答者を設けました。全コンセプト提示と比べ、一部のコンセプトを提示されなかった場合はどの程度効果が減弱するのかを明らかにすることで各コンセプトの影響力を導きました。また、この影響力を分析するためにロジスティック回帰分析という統計手法を用いました。
ロジスティック回帰分析とは、変数間の関係性を数値化する統計手法の一つで、二つの結果の可能性(例えば、「行動変容が起きる」または「起きない」)について、どのような要因が「行動変容が起きる」可能性を高めるのか確率的に推定をしていきます。また、その影響の大きさを評価するためにオッズ比という指標を利用しました。
オッズ比は統計的な比率で、特定の事象(ここでは各コンセプトの提示)がある結果(ここでは行動意向の変化)をより高く引き起こす可能性を示します。加えて、有用性に対する回答を基に、意見改善の仮説を立てました。これらの手法により、各コンセプトが行動変容にどの程度寄与するかを詳細に明らかにできました。
2つの調査より
定性調査(感情分析)と定量調査(効果分析)を通して、私たちはクライアントが新規サービスコンセプトの開発をより明確に進めるための支援を行い、結果として、どのユーザータイプに焦点を当て、どのコンセプトを優先的に開発すべきかが明確化し、全体の開発効率の向上を後押しすることができました。
開発段階のフェーズに応じて、課題もさまざまに変わってきます。私たちUismの役割は、リサーチパートナーとして、お客様が抱える課題、予算、スケジュールなどすべてを考慮した上で、最適な手法を提案、有効な解決策を見つけ出し、開発を支援することです。
弊社には、定性・定量両方において豊富な知見と経験があります。それを駆使して各プロジェクトのニーズに合わせたカスタムメイドのリサーチを提供し、あなたの事業成功に貢献します。どのようなお悩みでも、お気軽にご相談ください。